ネオ専用バックの制作は、ウェットフォーミング用の木型づくりから始めました。
大きな面で大まかな形を切り出します。新しい面を切り出す度に、センターラインを引き直して常に断面形状が左右対称になるよう意識して進めるのがコツです。
写し取った断面の形状を木型の端部に反映させます。
三次曲面の木型が完成しました。
フレームの中に収めてみて様子を見ます。
さて、この木型を使っていよいよ革の加工に入ります。
この革の成型方法は、靴のつま先の作り方の応用です。
上から二枚目の革を銀面を外側にして貼ります。一枚目同様、引っ張りながら小釘で仮止めして形になじまませていきます。二枚の革の間には接着剤を塗り拡げてあります。今回は水で溶いた木工ボンドを使いました。ゆっくり乾くので作業する時間が稼げます。
次も同じウェットフォーミングで、バッテリーの凸部をはめ込むパートを作ります。
むしろこちらの制作工程の方が、一般的なウェットフォーミングのやり方です。湿った革を事前に作っておいた雄型と雌型の間に挟んで整形します。
バックの基本的な作り方は、バックの各面ごとに作り、最後に縫合して組み立てるのが一般的な方法です。必要な開口部や引手、ポケットなどの加工が、平面の方がやりやすいので、このような手順になるのですが、全体の作業手順をよく考えて進めることで、直接見ることのできない袋状の内部に手を突っ込み、手探りで縫合するような、やりずらい仕事を極力減らすことが出来ます。このバックもこの基本に沿って、面ごとに作っていきます。
このバックの中には、スマホやメガネなどを入れる予定なので、必ず緩衝材がなくてはなりません。今回は以前椅子の座面に使った、ウレタンスポンジの端材を使います。円筒形に成型するのために、カッターで平行な溝を6本掘りました
革の小口と床面はトコヌールを塗り広げ、ガラス瓶の小口で磨いて処理してあります。
このようにして準備した開口部のパーツを所定の位置に組付け、jcraftのマークをステンシルし、三次曲面に成型した面と、手縫いで繋いだその間の工程は省略します。その間の様子を紹介しても、一般的なレザークラフトのハウツーものとありまり代り映えのないものになってしまいますし、この稿はオリジナルのモノつくりの考え方と、それを実現させるための工夫に焦点を当てたいと考えているからです。
縫合は場所によってはミシンを使ったり、手縫いだったり、いろんな技を駆使しています。ちなみに、レザークラフトは独学で習得しました。レザークラフトの技術は、ebayで海外の道具を手に入れたりしながら鞄やペンケース、小銭入れや靴などいろんなものを作ることで、自然と身に着いたものなのですが、常にクラフトを楽しむことが上達への近道です。手縫いの時などは同じ作業を延々と繰り返すことになりますが、楽しいと感じられれば延々と続けることが出来ます。また、楽しくさえあれば、失敗すらも新しい技術習得のチャンスになってしまいます。気が付けば、失敗したときのリカバーの方法が何通りも思いつくようになっています。興味が尽きないので、同じ成果が上がる異なる方法を、何通りも試してきました、その結果、自然に合理的なやり方や手順が身につきます。
完成したバックを自転車に取り付けたところです。