白いイクスシーの椅子の修理のご依頼がありました。
脚の付け根が割れ、座面の革も切れています。
ご自身で釘を打って直そうとされたのですが、割れてしまい手に余ってのご依頼です。

この写真は曲がった釘を抜いた後で撮影しています。ひどい割れと金槌の打痕が残っています。幸い体重のかかる下方向には割れが進んでいなかったので、一目見て割れを直せば使えるとの判断となりました。

とは言えこの場所は一番力がかかる場所なので、ご相談の結果補強のために横架材を一本追加し、切れた革テープについては、似たような色のアクリルテープに張り替える修理を行うことにしました。

まず横架材につかう材料を用意します。
必要な寸法に切り出して表面を整え、色合わせをします。
ピンクがかった不思議な色なので色合わせに苦労しています。2度目の塗りでなんとかいけそうな色が出せました。
次に切れた革テープを取り外します。溝底のステープルで止められた厄介な作りです。
千切れた革テープの取り外しが終わりました。
真っ先に手配しておいたベージュのテープを張ります。
テープの交換が終了しました。
補強の横架材を固定していきます。

横架材を取り付けてからだとテープを固定する工具が入らなくなるので、作業手順を前後入れかえての進行です。具体的な作業段取りはこのように時として前後することがしばしばあります。

割れていた個所に接着剤を入れ、プレスして一晩置きます。細かな割れは仮クギで固定して一体化させています。
ハタガネと借り釘を外します。接着剤が完全に硬化しました。
エポキシパテを色合わせしつつ隙間に押し込んで埋め込みます。
横架材の両端は長い木ビスで固定しています。
ビスの頭を木栓で埋め込み仕上げます。
色合わせして、コーティング仕上げしています。

座面を張り終えてからの塗装なので、ここでは割愛していますが、マスキングで養生した作業をしています。

割れていた個所です。研磨で平面を削り出し、微妙な色合わせを再度しているので、ほとんど割れた痕跡はなくなりました。
完成です。

既存の革と新規のアクリルテープが編み込まれていますが、あまり違和感はありません。割れてしまった角もどちらが割れていたかかわらない程度まで持って行けたので、ご満足いただける仕上がりとなりました。