椅子4脚とテーブルの、ダイニングセットのリメイクのご依頼がありました。

テーブルについては高さを低くし、短辺側に座ってもテーブルの脚が邪魔にならないようにすること、椅子についてはグラグラすることの解消がご要望でした。写真は要所ごとにしか撮っていませんが、作業の流れはご覧いただけると思います。

1)テーブルの作業経過です。

テーブルの裏側、各コーナーに正方形の板をネジと接着剤で固定しています。

既存の脚は既に撤去しています。既存の脚はYの字を逆さにした形の脚が2本ある形式でした。短辺側に椅子を寄せると真ん中の部分が座った人の脚と干渉してしまうデザインでした。

小口の塗装を木地が露出するまで削り落とします。
この木地の状態から改めて、目止め・色合わせ・中塗り・仕上げ塗りと仕上げていきます。
塗装の仕上がりです。まだ完全に乾燥しきっていないので塗料の斑が見えています。一般的に木の小口はより多くの塗料を吸い込みます。この性質に倣って、小口を若干色濃く仕上げたのも自然に見える一因です。

一方新しく手配した脚も色と艶を合わせて仕上げます。

天板の裏に座金をつけ、最後に納品する現地でこの脚をねじ込んで組み立てます。組み立てと分解に工具は要りません。

2)椅子の作業経過です。

座面を外して区枠のみにし、木枠の接合部の緩んだ個所に接着剤を入れ、クランプで圧着して一晩置きます。
別の角度から撮ったものです。多くの個所が緩んでいたので、縦横にプレスする、手持ちのクランプ総動員の作業となりました。
ホゾが引き締められたのを確認し、木枠全体をクリーニングします。
塗装の傷んだところをタッチアップして色合わせし、コーティングして艶を合わせます。背もたれの、背中を支える部分に幅があり、それがひじ掛けと優雅なラインでつながる座り心地の良さそうな椅子フレームです。

今回作業に先立って行ったご相談では、この本革貼りの座面については、クリーニングとタッチアップのみで仕上げる方針となりました。革の表面に細かなすり傷は散見されましたが、革の破れたところはなく、まだまだ使える状態だったからです。

別途クリーニングしておいた座面を取り付けて完成です。

この革製の座面は、革にタッチアップしたところが艶の違いで目立たないよう、ごく薄く保湿クリームを擦り込んでブラッシングして艶合わせをしてあります。天然素材ならではの味のある仕上がりで、元々が品質のよい革と相応の作業手数をかけた、よい椅子であることがうかがえます。