棚板が外れそうなので、直したいというご依頼を受けました。
ガラス引き戸の付いた、本棚です
拝見に伺うと、棚板の間に書類ケースを挟んで、高さを調節して使ってらっしゃいました。今回の補修では、棚板をご希望の高さに固定しなおすことになりました。
いつも通り、計画書と見積書を作成してメールで打ち合わせ、ご発注いただいてから本棚を引き取りに伺い、作業開始です。
補修の計画書です。最初にこの書類を作ってご要望を確認してから作業を開始します
【補修作業】
■硝子戸の取り外し
本棚引き取りの際、硝子戸が外せないのでそのまま引き取ってきました。
外せなくなった引き戸を外します
支柱を立て根元に楔を入れて開口部を広げます
少しづつ広げ、楔の端まで使ってやっと外せました
無事外せましたが、ガラスが外れそうです
■硝子戸の補修
引き戸の枠が緩んでいるのが原因です
ホゾに接着剤を入れ
クランプで締めます
これでガラスが外れることはありません
■本体の補修
引き戸の枠が反って下に下がっています。これが引き戸を外せなかった原因です。手前の角のホゾの緩みも後でクランプで締め直します
外れかかった棚板と背板です、これを直すことが今回の補修の目的です
背板を外していきます
背板を止めていた釘はさびていました
外した背板の割れを補修します、こんなに幅の広い杉の背板は、今ではあまり見ることがありません、貴重です。
力が逃げないようにサンドして、クランプで固定しておきます。
背板を外してすっきりしました。次は棚受けの補修です。
今回の補修には棚板の移動が含まれています。この図を使って、ご希望の寸法を再確認しました。
棚板の反り止めに新規で追加した隔壁です。欅の1枚板を使いました、木目がきれいです。
棚板の受け桟は一旦外して新しい位置に固定しなおします。
木工ボンドとクランプでしっかり圧着します
角の欠けを補修します
背板の接合です。隙間を全て1か所に集め、18mmの隙間を新しい杉材で埋めます。
背板の再固定には仮釘を使いました
引き戸の細かな傷を補修してニスで艶を整えました
緩んでいた枠のホゾもしっかり接合しています
隔壁は下の段と中段につけました
完成した本体です。この後、引き戸を入れて開閉を最終調整して完成です。
引き戸の調整には、滑りを良くするため「いぼたろう」を使います。
面白い名前なのでご紹介しようと思いながら写真を撮るのを忘れてしまいました。
また今度機会がありましたらご紹介します。
最後にご参考まで、今回の補修は全て込みで¥45,000円くらいです。