引き戸や引き出しの表には、美しい木目が使われています。使い込まれた無垢の木の家具にはよくあることなのですが、美しい木目は、長い年月が経つと必ず反ってしまいます。特に引き戸は板目の1枚板の四方を木枠で囲ったつくりのなので、大なり小なり必ず反っているものです。反りが大きいと引き戸の溝とねじれた状態で擦れるので、開閉が渋くなったり、逆に摩耗してしまい、溝から外れてしまったりもします。美しい木目を生かしつつ開閉の機能を回復させるにはいろいろな方法がありますが、今回は引き戸のすり減った個所に堅木の薄板を固定し、開閉がスムーズになるよう削りました。この方法だと付加した木片はほとんど溝に隠れてしまいますし、戸の反りを無理に矯正しないので、木目の表面には最小限しか手を加えずに済むので、見た目の美しさが保たれます。
歴史ある家具には、やはり古来の材料が最適です。引き戸の滑りを良くする方法として、昔から使われてきた「イボタロウ」を擦り込み、引き戸はスムーズに開閉するようになりました。
一般的な塗装による修理作業は、大きな傷やシミなどのどうしても必要な個所のみに行い、家具全体の表面は、あえて適度なクリーニングをするだけにしました。その上で、自然な艶が蘇るように、家具用オイルを刷り込んで磨きました。こうして手を入れていくと、不思議なことに、浅い傷や多少のシミははむしろ温かみのある味になってしまいます。やはり無垢の木は中から美しさが滲み出てくるようです。
家具のお悩みをお持ちの方、jcraftの橋本までなんなりとご相談ください。メールや電話でのご相談は土日でも大丈夫です。【電話:080-4889-2255、メール:jinsuke.crafts@gmail.com】メールでのご相談なら写真を添付してください、具体的なお話ができると思います。
またご相談いただいて、リストアするとなったら、基本的には次のような段取りで作業します。①家具を拝見します(作業することが本決まりなら家具をお預かりして帰ります)②具体的な作業の内容と見積を提出します③作業内容、金額にご了解いただいてから作業を開始します④完成した家具をお届けします。すこし手間がかかりますが、こうすることで後から思わぬ出費がかさむことはありません。
作業後半の様子を動画にしました。引き戸の色合わせや、開閉の調整の様子がご覧になれます。
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