この後塗装作業に入ったのですが、写真が全く残っていません。
いつものことながら塗装には気を遣うので写真どころではなくなってしまうのです。

というわけで、突然完成です。納品先で写させていただきました。
5mm厚の強化ガラスを載せての納品です。
心配していた器の跡もほぼなくなりました。
ガラスの向こうから蒔絵の柄だけが浮き上がるように見えます。
ガラスが敷いてあれば漆に傷をつけたり、器の跡を残すのを防いでくれますので、気兼ねなく安心して使えます。
漆独特の上品な艶と、手に吸い付くような漆の表面にお客様もご満足いただけました。

全体写真です。周囲が映りこんでうまく写せません

天板には強化ガラスを載せています

器の跡もほとんどなくなりました。

今回はお預かりしてから約1か月後の納品となりました。
今年の梅雨は雨が少なかったので、日程的にはすこしきつかったです。
漆は固まるためには湿気が必要です、小物なら湿気を保った箱(フロの代わり)に入れるのですが、
実はこの座卓を入れられるような大きなフロがないのでこの時期の梅雨の湿り気に期待してのスケジュールだったのです。
湿気のある日がなくてしかたなく本当の風呂場に持ち込んで、シャワーの湯気を満たしたりもしました。

器の跡を消すのに用いた方法は、結局研磨と漆分の補填の両方を併用しました。研磨剤で手の平の皮が薄くなり、生漆の拭き取りを二回行ってほぼ満足のできるレベルにできました。やはり漆で広くて均質な面を仕上げるのは難しいです。研磨も拭き取りも集中力をとぎらせることなく一気に均質に行う必要があります。漆は奥が深いです。

最後に今回の作業の金額的な目安です。輸送・強化ガラス込みで8万円です。

漆家具のお悩みをお持ちの方、jcraftの橋本までなんなりとご相談ください。メールや電話でのご相談は土日でも大丈夫です。【電話:080-4889-2255、メール:jinsuke.crafts@gmail.com】メールでのご相談ならできれば写真を添付してください、具体的なお話ができると思います。

またご相談いただいて、レストアするとなったら、基本的には次のような段取りで作業します。①家具のある場所にうかがい、実物を拝見します(レストアすることが本決まりならこの日家具をお預かりして帰ります)②具体的なレストア内容とそれにかかる費用の見積を提出します③作業の内容、金額にご了解いただいてから作業を開始します④完成したものをお届します。漆の場合作業に2か月は欲しいところです。

以上の段取りにすこし手間がかかりますが、こうすることで後から思わぬ出費がかさむことはありません。