完成写真。
お部屋のリフォーム完了後、ご依頼されていたアメリカ製のダイニングセットを納品しました。刷新したお部屋に修理したダイニングセットが引き立ちます。

アメリカ製のダイニングセットの修理を依頼されました。
20年以上使われて、傷んだテーブルトップを直し、椅子も座面を貼り替える計画で作業をスタートしました。
テーブルには天板を拡張できる機構がありますが、それはもう使わないので固定してしまい、ペットのワンちゃんが齧って欠けたテーブルの脚を一緒に修理します。

【テーブルトップの修理】

長年使って傷んだテーブルトップ

再塗装が完了したテーブルトップ

テーブルトップは突板製で、一部突板が浮いているところがありました。一旦塗装を剥がし、浮いたところを再接着して下地処理から塗装までの工程を再び行いました。この後最終仕上げの塗装をあと3回して仕上げてあります。

これが天板の拡張機能です。二本のレールでスライドして開き、この隙間に拡張用の天板を挟み込む巧妙な仕掛けです。

将来、復旧することがあるかもしれないので、木ビスだけで固定しました。4本の部材を各々4本のビスで固定しています。

【ペットのワンちゃんが齧って欠けたテーブルの脚の修理】

テーブルの脚先をワンちゃんが齧った跡です。思っていたより大きく齧り取られていました

形を復元し、一旦塗装で仕上げたところです。もう齧った痕跡はどこにもありません。

工房に持ち帰り詳しく見てみたら。ワンちゃんの齧った跡は結構大きくて復元方法を変更しました。まず齧られた跡を整形して、木片を接着し、細かなところは専用のパテを埋めて整形しました。塗装で色合わせしてワンちゃんの齧った痕跡はほぼなくなりました。この後最終仕上げの塗装をして仕上げてあります。

以下に詳しく作業の経過をご紹介します。

以前に施された修理の跡があります。形の復元はせず色と雰囲気だけ合わせる修理方針だったようです

欠損した形を整形します。今回は円筒形に整形しました。きっとこの形がワンちゃんの刃型です。ピッタリ合うように木片を削って用意します。

木片を接着します。テープで養生して完全に固まるまで待ちます。

接着した木片を大まかに削り出します

細かな隙間はパテを埋めます

削り出して形を復元します

塗装で色合わせして、同時に艶も合わせていきます。

脚の復元完了です。このあと最終塗装をして組み立てます。

【椅子の修理】

座面を裏返して

背布を外してみると

本革が貼られていました

当初の計画では明るいベージュのビニールレザーに貼り替える予定でしたが、ほとんど痛みのない本革を外してしまうのは勿体ありません。急遽ご依頼者に連絡して計画を変更し、クリーニングして革専用のクリームで革に潤いをとりもどし、このままお使いいただくことをお勧めして了解を得ました。代わりに椅子の枠組みに強度的に気になる個所があったのでそこを改善しました。

アメリカ製のフレームはさすがによくできています。ただ1か所、製造時のミスがあります。右上の角の補強材が本来の位置からずれているのです。

櫛状の溝に補強材の両端がはまり、しっかり接合される構造なのですが、右上の角だけ補強材がずれた位置に固定されています。そのため強度不足になってここのホゾにゆるみが生じているのです。

補強材を外してホゾを確認します。こんなに隙間が空いてしまっては、使っているうちに緩まないのが不思議なくらいです。

接着剤をつけ、正しい位置に補強材を固定しなおします。同じような施工ミスがもう1脚の椅子にもありました。

椅子4脚の修理完了です。とても地味な修理で普通に見ただけでは、何をしたのかわかりません。ですが数年したらその差は歴然としてきます。

完成したダイニングセットです。リフォームしてきれいになったお部屋にとても似合っています。