ご依頼の写真。この楢材の1枚板を活用して2つのテーブルを作りたいとのご依頼でした

20年以上使われてきた楢の1枚板のテーブルを2つのテーブルにリメイクしたいというご依頼を受けました。

脚には格子状の装飾があります

この天板の厚さは40mm、脚に愛着のある格子状の装飾があり、これを活かしてソファーサイドで使うサイドテーブルと新聞の読める座卓にしてほしいとの本格的なリメイクのご依頼です。

【スケッチでリメイク計画を練る】

スケッチを描きメールでお送りしてご依頼主のご要望をうかがいながらリメイクの計画を練っていきます

リメイクの検討スケッチは15枚程度書きました。事前にご依頼主にメールしてリメイクの方針をご了解いただくまでに6枚、実際のリメイク作業に入り部品手配の段階で9枚ほど描き、検討を進めました。実際に制作する段階で諸般の事情で変更せざる得ないところもありましたが、参考にご覧ください。
左側は座卓のスケッチです。格子状の脚をどのように活用するか、この段階では楕円形の天板にするつもりでしたが、新聞を広げられる広さを確保するため、形が変わっていきました。
右側はサイドテーブルの棚板の検討スケッチです。たたんだ新聞とテレビのリモコンを置くスペースをどのように確保するか、まだ課題が残っていました。
座卓の脚のスケッチです。どのようにして必要な強度を確保するか検討しています
右側はサイドテーブルの寸法関係の書き出しです。金属製の脚を手配するための最終検討に必要で書き出しました。左側は座卓の脚の強度を保つための特殊金具の検討スケッチです
座卓の天板形状のスケッチです。一部に無垢板の耳の部分を活かしたデザインにして最大限大きな天板にすることにしました

【制作過程】

座卓とサイドテーブルのリメイクを同時進行で進めました。2つの制作が進むので多少わかりづらいとは思いますが、時系列でご紹介します。

工房に引き上げて作業開始です、オリジナルは三本足のテーブルです。まず既存の脚を取り外します
脚はビスで固定されています。ビスを外せば脚は取れるはずでしたが・・・
ビスを抜いてみると脚は接着されていました。、急遽クサビやバールを使って剥がします
非常に強固に接着されていたので、一部天板裏の表面も一緒にはがれてしまいましたが、一番厄介な丸太の脚を脚を外すことができました
次いで再利用する予定の脚です、膠で接着されてはいなかったのですが、アイロンを当てて接着面を剥がしにかかります
木製のクサビを何本も用意して少しづつ剥がしていきます
クサビがきいてはがれ始めました
なんとか外すことができました。天板裏を痛めてしまいましたが・・・
再利用する脚は綺麗な状態で外すことができました

リメイクでは想定外のことがしばしば起きます。その都度計画を再検討したり工法を柔軟に変えたりして対処します。そのためには時間的なゆとりと、いろいろな工具がある工房での作業が、必要だと思います。

脚の加工に入ります、強固な接合をするため特殊な金具を使う予定でなので、まず正確な罫書をします
脚底に罫書し、足先の形状をデザインします
罫書が終わり足先の形状も決まりましたので、この形を元に型紙を作り、特殊な金具を発注し、納品されるまでに他の作業を進めます
天板から座卓とサイドテーブルの天板を切り出す準備に入ります。座卓の天板は1/4の型紙を作り形を書き写します
足先の形も書き写し、いよいよ天板の切り出しです
座卓の天板を切り出しました。ジグソーの刃にボッシュ製を採用しました。優れた切れ味で40mmの広葉樹の硬い木材も難なく切ることができました
サイドテーブルの天板を切り出しました。とても良い木目が出ています
座卓の天板の小口を整形します
ボシュの刃はほとんど逃げないので綺麗な切り口に仕上がります。おかげで短時間で整形が終わります
サイドテーブルの天板に砥の粉を刷り込みます
楢材の綺麗な杢目を活かした魅力的な仕上がりになりそうです
発注していたサイドテーブルの脚が届きました。黒の粉体塗装できれいな仕上がりです。わずかにテーパーのかかった支柱の先をベースに差し込んで完成させる構造です
天板にはこのビス穴で木ビスで8か所で固定する方式です
ラッパ型のベースには角がなく、靴を脱ぐ習慣の日本の室内用として最適の形状です。脚をぶつけて痛い目に会うことがありませんから

届いたインロー式の脚を見て、検討課題だった棚板の面積不足と固定方法が解決しました。天板と同じ大きさの棚板を支柱に固定して天板下につけることに計画を改めたのです。

棚板を中央の支柱に固定するためのフランジを制作します。まず正確に罫書ます
ついでビス穴を開けて、サンダーで角を削り落とします
手で木片を保持しつつ少しずつ回転させながら正確にサンデイング面に当てていきます。普段からごく普通にやっている削り加工ですが、よく器用だと言われるのは、こういうことをするからでしょうね。木目が整うまで番手を上げて同じことを繰り返します。
足先の形状を切り出します、ほとんどの作業を手鋸や鑿、やすりで仕上げていきます。加工対象をしっかり固定することが、こうした作業を正確に行うコツです
切り出した足先の部材を整形します。オリジナルの脚を剥がした時にできた凹みをエポキシパテで埋め、サンディングして型を整えます
脚先を接合します。所有しているボール盤の顎の長さが足りず、正確な穴あけを断念したので、ひとまずこの脚先は90mmのステンレス製の木ネジで固定してあります
足先の対角側にビスの頭を埋め込んだ丸い跡が見えます。脚先から切り落とした木片からダボを作っているので色と質感が全く同じなので、完成すれば気にならなくなります
天板と脚を一旦仮組して仕上がりをチェックします
足裏に補強用の金具を取り付けるための溝加工をします
金具を取り付けたところです。これから奥の側も同じように補強か金具を埋め込みます。計画していた特殊金具が使えませんでしたが、この補強金具で充分な強度が保てます
の座卓の脚の塗装仕上に入ります。まずサンディングで既存の塗装と新規の塗装の間をなじませつつ塗装の下地を整えます
色合わせしてからラッカー系スプレーで艶を合わせていきます
脚先には魅力的な木目がでてきました
サイドテーブルも組み立てと塗装仕上に入ります。9mmのシナべニアから棚板を切り出し、中央に木製フランジを固定、砥の粉を刷り込んで下地処理し塗装しています
サイドテーブルの塗装途中です、サンデイングシーラー研ぎ出しの段階でこのような魅力的な木目が出ています
座卓天板の塗装工程です、節目の穴をエポキシパテで埋め、木工下地調整ご砥の粉を刷り込み、サンデイングシーラーで6回ほど研ぎだししています
楢の美しい木目が出てきました
仕上にはクリヤーラッカーを吹き付けています
足裏には硬質フェルトを貼り、実際には床には接しない補強金具の角にも同様の処置をして床を傷つけないように仕上げました

【完成写真】

サイドテーブルと座卓