もう3年目ですね、世界が変わってしまってから。でも、皆さんお元気ですか。僕は自転車で戦うことにしました。このシリーズは僕が僕自身のために作ったものの紹介です。あまり皆さんの参考にならないかもしれませんが、モノつくりの好きな僕がコロナ禍で試している生き方を見てください。
最近気が付いたのですけど、何か作っていないと息苦しくなってきます。サメは泳ぎ続けないと酸欠でまいってしまうそうです。僕は何か作っていないとまいってしまうようです。このシリーズは誰かに頼まれた仕事の事例紹介ではなく、僕が僕自身のために作ったものの記録です。
誰かの参考になるかどうか、僕にはわかりませんが。このシリーズでは「何故そうしたのか、どうしてそんな形になったのか」、僕の頭の中で起きていることをしっかりと表してみたいと思います。
考えたモノ以上のモノができることはない。技術的な問題で考えたモノができないことはある、でも考えたモノ以上のモノができることは絶対にない。誰かが言ってたことですけど、確かにそうです。
考えた経緯をお伝えすることで、僕が選択しなかった方向に進んでいく人もいるかもしれません。できればそんな風にして、その先に大きな果実が実ることを願っているのです。ですからこれは過去の結果ではなく未来の可能性への僕なりの挑戦なのです。
「僕は自転車でいくことにします。」テーマは自転車です。脱酸素で環境にやさしく、健康に良くて、安価で。きっかけはある大手の自転車メーカーに仕事の提案をしたことに始まりました。
提案の質を上げるために、そのメーカー主催の自転車走行会に参加しました。都内で8キロほど走るだけなのですが、途中で皆で美味しいものを食べたり、由緒ある公園を散策したり、文化的な体験をつなぐ手段として自転車を見直すイベントでした。
よく整備された、最新の変速機を装備した自転車の乗り心地にすっかり魅了されてしまった僕は、同じものが手に入らないものかネットで検索しまくりました。残念なことにそのイベントで僕が借り受けた自転車と同じものはもう販売されていませんでした。それは大手の自転車メーカーがつくったものだったのですが、そもそもが販売台数も極端に少なかったもののようで、ことによると大手自転車部品メーカーに向けた特別仕様だったのかもしれません。
落胆しましたが、かわりにとても気になる自転車を見つけてしまいました。それがキャノンデールのクイックネオだったのです。
クイックネオはボッシュがモーターユニットやバッテリーを生産し、コロナの影響もあり、ヨーロッパで大好評で受け入れられているキャノンデールのクロスバイクで、大容量のバッテリーはアルミフレームの内部に収納され、とてもスマートで洗練されています。自転車やそのパーツについていろいろ調べていた僕の印象では、たぶん自転車の歴史的転換を体現するようなエポックメイクなモデルなのですが、なぜだかとても安価なのです。
僕にとって、ほんとに欲しいモノって、なんだか意識していたモノの隣からやって来ることが多いようで。それを意識し始めると知らないうちに僕の中のパラダイムがシフトしてしまうんですね。
僕は車を運転するのが好きで、趣味で走るためにホンダの初代ビートをセカンドカーとして大切にしてきました。今でもあの高回転エンジンの音と爽快な加速感は大好きで、思い出すと少し悲しくなるのですが、結局ビートを手放してクイックネオに変えることにしたのです。これは明確なパラダイムシフトです。その結果、クイックネオを中心に、モノつくりが展開し始めました。
次回はクイックネオを手に入れたいきさつからご紹介します。