天板の芯材にはパーティクルボードのような、木毛板が使われていました。この板を貫通してたくさんのステープルで脚を止めてあったのですが、ステープルが錆びていて木毛版の繊維ごと一緒に外れてきました。このような材料は目にしたことがなく、その内部は空洞が多くてビスや釘の効かない、厄介な材料です。ビスやステープルは仮止め程度の効果しかなく、信頼できる接合方法は接着しかありません。
このサイドテーブルは家具というより、小ぶりで愛らしいインテリア小物です。ご依頼者もその点が気に入り、修理して使い続けたいというご要望だったのです。実際修理してみて感じたのは、このサイドテーブルは日本で作られたモノではなく、たぶん輸入雑貨のカテゴリーで販売されていたものではないかということです。
使用目的や価値観が違えば、使う材料や工法も変わります。普段と異なる修理の目標からブレないために、このサイドテーブルの上に、小さなプランターやフランス人形などが飾られる姿を常にイメージして作業を進めました。おかげで初めて扱う素材にもなんとか対応できましたし、ご依頼者に喜んでいただく事が出来ました、この経験がまた何かの役立つ日が来ると思います。