和家具の座卓の塗り直しをご依頼されました。ご両親の代から50年近く使われているそうです。突板が一部剥がれ、直された跡があります。

作業所に運び込み、まず分解しつつ各部の傷みを子細に確認します。
脚の付け根に部材の欠損があります。修理が必要です。
脚にも小傷はありますがこれはタッチアップで直せる範囲と判断しました。
部材の欠損は4か所、いずれも脚の接合部にあります。
全て分解しました。
天板裏のこの色が、最もオリジナルの色を残しています。この上に仕上塗装を重ねた状態が目指す天板の仕上がりです。
いよいよ天板の傷を検めていきます。
突板が剥がれて週のしたところ。木目の色に合わせた色を塗ることで目立たなく修理してあります。
突板が浮いている箇所、あちらこちらに散見されます。
角の小さな剥がれ。以上を確かめ、それぞれの修理の方針を立てました。
オリジナルの突板と同じ樹種、ケヤキの薄板を用意します。なるべく木目の似たところを探して使います。
補修跡の塗装を削り落とし、その外形をトレーシングペーパーで形を描きうつします。
木目の近い所にトレーシングペーパーを貼ります。
薄板を切り出し、
接着して仮止めしておきます。完全に固まるまで他の作業を進めます。
欠けた断面を平面に整え、接合する木片を用意します。
双方の接着面を平滑にし、
接着して養生しておきます。
次に天板の突板納期を補修します。浮いた個所に木目と平行にカッターで切れ目を入れ、
瞬間接着剤を流し込んで、アイロンで圧着します。
突板の浮き再接着は、天板のほぼ全面に渡り行う必要がありました。
次に天板の古い塗装を削り落とす作業に入ります。
オービタルサンダーで#40、#69、#80、#120と番手を上げながら前の差研磨の研磨跡を消し去るように進めます。
全体の研磨処置が終わりました。これがそのまま塗装の下地処理になります。
目止め剤に着色剤を入れ、調色したものを全面に刷り込み、拭き取ります。木目の濃い所の色に合わせているので、この段階で綺麗に木目が浮かび上がってきます。
木目以外の所は少し黄色っぽく仕上げたいので、オード色の着色をしたところです。ここまでが下塗り層で完全硬化までしばらく養生しておきます。
欠損の再生に戻ります。余分な木片切り落とし、大まかに形を削り出します。
やすりで形を整えていきます。
反対側も同様に整形し、
接続部分の塗装も削り落として整形の完了です。
着色と塗装で仕上げました。
天板に戻ります。中塗りにサンディングシーラーを3階塗ったところです。
塗る度に研磨して天板の平滑面を出していきます。
少しづつ凹みが埋まり、もうあと3回くらい繰り返す必要がありそうです。
中塗りも回数を重ねると少しづつ色が濃くなってきます。木目部分の凹みも許容できる範囲になってきました。
細部を確認しても木目がとても自然な感じで、ケヤキ材の木目の美しさが際立ってきました。後は仕上げの塗装を残すのみです。
細かな傷をタッチアップした後で、脚を仕上塗装します。
各部材を組付けます。脚も綺麗に仕上がりました。
仕上がりです。
オリジナルに倣い、天板はかなり艶のある仕上方をしました。
その細部です。近くで見ると木目の美しさが際立ちます。
天板の小口も脚も綺麗に仕上がりました。また40年や50年は使える座卓に蘇りました。