家具修理の下見に行ったとき、振り子時計が動かなくなり困っているというご相談を受けました。以前ムーブメントを組み込んだ壁掛け時計を手掛けたことがあるお話をしたところ、ムーブメントの交換修理のご依頼いただきました。
品番を頼りにネットで検索したましたが、ヒットしません。本体に貼られたシールに記載された時計のメーカーにも連絡を試みましたが、「今は使われていない電話番号」との自動応答があるばかりで、この会社は既に存在しないと判断しました。
以前お世話になったムーブメントメーカー「誠時」さんのホームページを久しぶりに開いてみたところ、振り子時計用ムーブメントがありました。過去の経験からムーブメントに適合する針も手に入れる必要があります。このムーブメントの図面は公表されていなく、およその外寸しかわからないのですが、「周囲を多少改造したら適合させられるはず」との見通しをたられたので、ムーブメントと針を手配しました。
振り子も一緒に交換せざる得ないこと、クオーツ発信のムーブメント(電波時計ではないので)ので誤差が生じることをご依頼者にご了解いただき、新たに「文字盤はオリジナルののままで使う」という条件をいただき、具体的な作業に入りました。
針を外してみるとムーブメントは文字盤から分離できることがわかりました。さらに新しいムーブメントと横幅が全く一緒で、ほとんどそのまま組付けられることがわかりました。例外は針の根元のネジ止め部分で、専用のスペーサーを木で作り、黒く塗装して挟み込みました。