この素晴らしい螺鈿の座卓は、ご依頼者のお父様が20年以上前に、韓国で購入し、舟で持ち帰ったものだそうです。永らくレンタル倉庫に眠っていたこの座卓を「日々の生活に活用したいので、ダイニングテーブルにリメイクできないか」とのご依頼を受け、ダイニングテーブルに生まれ変わらせました。
韓国生まれのこの螺鈿の座卓、国が違うと家具の作り方も変わってきます。レンタル倉庫に引き取りにうかがった際、難しい仕事になるかもしれないと感じたのは正解でした。難しそうだと「面白そう、やってみたい」と思ってしまう良くない癖がまた出てしまいました。
完全に閉じられた箱状の造りです。螺鈿の装飾と塗装仕上に照準を合わせた木軸構造になっています。木軸の素材には、塗装の下地に適したMDFが使われています。MDFは木粉を樹脂で固めたもので、表面が均質かつ滑らかで、塗装のノリが良い半面、ビスが効かない厄介な面があります。構造的な接合には、広い面積で接着するか、埋め込みナットを使うしかありません。
後ほど継ぎ手の加工をしてみてわかったのですが、脚もMDFのブロックを接着して作られています。これは、予想通り厄介なことになりそうです。一旦作業から離れ、よく検討してみます。
※奥谷ろくろ職人工房 http://kinoasi.com/
この穴から内部にビスの効く木のブロックを接着しています。ちょうどテープでマークしている真下の位置になります。