腰の部分の剥離の処理が終わり一旦黒で塗りつぶしたところです。

天板の研ぎ出しが終わり、一旦透明の漆でコーテイングしたところです。

完成です。赤のラインはマスキングして入れました。

貝が光を受けると様々な色に反射します。

こつこつ作業を続け、やっと形になってきました。貝が浮いていたところは下地と貝の間に黒の漆が入り込み、青く反射するようになりました。こうした個所はオリジナルとは異なっているのですが、これはこれで美しい仕上がりです。工芸品の実用性と美しさの復元を目指したレストアなので、目標は達成です。
天板の模様の復元には一部欠損していた貝を埋め込んだり、漆のひび割れを修復したり、角の欠損を埋めたり、結構な作業量があったのですが、写真を撮っていません。いつものことながら作業に夢中になり、写真のことをすっかり忘れてしまうのです。
ですので突然完成写真になってしまうのですが、作業時間は実はこの写真がない期間の方が長く、約2か月半かかっています。今回使用した漆は一般的に入手しやすい合成漆ですがそれでも乾燥には2日はかかります。研ぎ出しするには3日は置きたいところですので、どうしても時間はかかってしまいます。また、漆の経年劣化が思っていたより進んでいて、下手すると剥離する恐れがあったので、一度に小さな面積しか作業できなかったのも一因です。また本来平面であったはずの天板にも下地の収縮による微妙な歪みがあり、螺鈿細工の貝がごく薄いこともあって、一度に広い面積を研ぎだすことができなかったのです。一言でいうと、このレストアは大変苦労しました。
最後にご参考のレストア料金なのですが、とりあえず4万円ほどとさせてください。また、このようなもののレストアをご相談いただくとしたら、レストアする目的とか想いをお聞かせいただければと思います。

写真ではうまく写らないのですが、漆の光沢とその手触りはえもいわれぬ素晴らしいものです。だからこそまた漆の家具の不具合は心悩ませます。お困りの方、jcraftの橋本までなんなりとご相談ください。メールや電話でのご相談は土日でも大丈夫です。【電話:080-4889-2255、メール:jinsuke.crafts@gmail.com】