Aテーブルは小ぶりな円形のコーヒーテーブルです。ですが細部の仕上げが素晴らしい流石の家具でした。こんな素晴らしい家具の修理ができて誇らしい、そんな気持ちにさせた修理をご紹介します。

不具合個所をテーピングして布でくるんで工房に運び込みました。Aテーブルの修理開始です。
養生を解きます。
誇らしげなマークです。
この段階で、天板の裏側、大きな面取りの仕上げ面に結構ひび割れが起きていることに気が付きました。
これは処置しないわけにはいかないなと考えつつ、本来ご依頼のあった個所を子細に確認します。
テーブルの縁回しが外れているのです。
結構大々的に剥がれています
特殊な接着方法だとの情報は事前に知っていましたが、これはしっかりした接着をしないとなりません。
まず剥がれたアルミ製の部材を、一旦平らにします。
まず接着作業に隣接する場所を全てテープで養生します。テープの際に0.5mmのスペースが露出するように細心の注意をして貼りまわします。
まず剥がれたアルミ製の部材を、一旦平らにします。
次に接着面に付着したオリジナルの接着剤を削り落とし、十分な接着強度を確保するため表面を荒らします。こうすることで接着剤が食い込みしっかり保持してくれるからです。
同じく接着の外れた反対側も処置します。こちらは隙間が狭くなかなか思ったような作業はしずらいのですが、しっかりした再接着のためには譲れない作業です
エポキシ系の接着剤で接着し、ひとまずはテープで仮固定してテープ状のクランプを回します。
クランプを締め付け、しっかり圧着させて24時間以上養生しておきます。
別のアングルからの写真です。
一昼夜経って、クランプを外したところです。
突合せの所に隙間があります。アルミの縁回しの気温差による収縮のスペースでもあると思われます。
一番近い色の蝋を流し込んでこの隙間を埋めます
充填完了後、表面を平らにならしました。アルミの素材色を活かした縁回しなので、あえて色合わせはしません。
縁回しの表面のヘアラインを既存の個所に倣ってつけます。
一旦天板の作業をやめ、懸案だった裏側の処置を開始します。
裏側なので普段は見えないところです。
あえて仕上塗装の質感にはこだわらない仕様のようですが
流石にここまで沢山亀裂が入っているとほっておけません。
作業するエリアと隣接するところをテープで養生し、
ポリパテで亀裂を埋める処置をします
数回パテを擦り込み、研磨して平滑にします
ほぼイメージ通り面が出ました。
ついで養生の上、吹き付けで塗装仕上します。今回この部分は白の艶消しラッカー仕上にします。
数回に分けて吹き付け
3回目で完全に下地が被覆されました。
脚の下にある鋼むき出しのパーツに出ていた錆を落とし、
養生を剥がし、仕上がりの確認です
完全にひび割れがなくなりました。
再び天板の作業に戻ります。仕上げ工程です。
外周のアルミ縁回しも面取りしてヘアラインを付け、仕上げに錆止めのウレタンクリヤー塗料をさっと一拭きして仕上げました。
下から見上げてもこんな感じです。ほぼ完ぺきな仕上がりです。
表面側のエッジもシャープで美しい。
凛としたAテーブルが蘇りました。