ローズウッドの優雅な椅子を修理しました。
養生して工房に運び込みました
とても上品な椅子です。素材はいわゆる唐木です。ローズウッドのようだと思います。木目が密で肌理が細かく、ごく薄い塗装で済まされています。座面の生地も立体的な織でたぶんゴブラン織り、明らかに高級な椅子です。
まず、全体のクリーニングです。良い素材なので埃をはらい、ブラシをかけるだけで趣のある佇まいが復活します。
ここが特に修理を依頼された個所です。そもそも床に置くとすこし足の長さが違っている感触があり。その改善が目標です。
予想のしていたとおりしっかりクリーニングしてみると、中間の横架材の付け根にも微妙な隙間が現れました。
1mmにも満たない隙間ですが、これが背もたれに到達するころには3mmくらいに広がっているのです。
以前の修理で隙間にパテを埋めるだけで済ませていたこの隙間をゼロにすれば足の長さは復元し同じになるはずです。
隙間に充填されているパテを根気よく取り除きます。刃幅1mm程の木口木版用の彫刻刀が活躍します。
このパテ、ゴム系のような粘りがあります。
パテを全て取り除きました。元々この個所は木製ダホ2本で接合されていました。
ここに接着剤を流し込み、圧着すれば復旧します。
接着剤を入れ、ポニークランプで圧着します。
接合箇所のアップです。元来高精度な接合がされていたのです。隙間が全くありません。
乾燥後整合面のほんのわずかな段差をサンドペーパーで解消します。木肌を傷めないよう600番を自作の曲面当て木に付けて使っています。
接合箇所の完成です。隙間が全くなくなりました。
手で撫でても、全く段差がありません。
くだんの横架材の付け根にも接着剤を押し込んだのですが、全く隙間がなくなりました。完成です。
背もたれの曲線も優雅です。
プロポーションも優れて美しいです。
ローズウッドの優雅な椅子の修理完了です。