電話台の修理のご依頼をいただきました。
側面板が裂けています。
角には細かな傷みがあり、
引き出しの前面にも細かな傷が、
柱のトップには塗装の剥がれ、
足回りに当たり傷。
引き出しの前板が外れかかっています。

今回のご依頼の直接の理由となった不具合です。引き出しを引き出す度に、症状がますますひどくなりますし、なによりこんな状態では使っていて不便です。

外れかかった引き出しの前板を再接合します。
クランプで圧着して一晩置きます。
側面板の裂け目です。

実はここが、今回の修理で最も大変だった個所です。この裂けめの裏は空洞になっていて手が入らないのです。いろいろな修理方法を検討して、普段は見えない裏側からしっかりした処置をすることにしました。

裂けめの内側の内張りを一旦開口して、
裂けめの裏側に当て木をして、空洞を埋め、裂け目を直しました。
クランプで圧着して裂け目を平滑に再接合します。こうして最後に表面の裂け目を仕上げました。
この段階で全体をクリーニングし、細かな傷の補修を済ませました。
引き出せるメモテーブルも補修して
5回ほど塗装と研磨を繰り返して、天板を平滑に仕上げました。修理の完成です。

固定電話をお使いのお家は最近では減っていると思います。当然、電話台も使われなくなってきているのですが、今回修理したこの電話台は引き出し式のメモテーブルもついた、とても使い勝手の良さそうな、貴重な電話台でした。

引き出しの不具合が修理のご依頼の直接の理由となりましたが、この機会に引き出し以外の不具合についても直せたことは、これからも長くお使いいただくために良かったと思います。

実は事例紹介(99)のライティングデスクも同じご依頼者だったのですが、特に可動部の多いこうした家具の不具合は、使い続けることで不具合が進行してしまいます。早い段階で修理することで軽微な修理で済ませることができます。「不便だな」と感じることが、長く家具をお使いいただくポイントなのかもしれません。