背もたれが籐編みの椅子の修理を依頼されました。

長年背中を支え続け、籐編みが切れてしまってます。座面は本革張りです。籐編みは交換し、座面は破けてしまったものは新しい革に交換、まだ使えるものは革に栄養を与えるメンテナンスをします。

四方編みのピッチを調べて同じものを手配します。
まずは座面を外します。
交換する前の背もたれの状態です。
籐編みシートが、座面でかくれるところはステープルで止めてあります。
革張りの座面のメンテナンスです。革用のクリーナーで汚れを落とし、保湿クリームを擦り込みます。
ブラシで磨き上げるとここまできれいになります。乾燥してひび割れそうだった革にしなやかさが戻りました。まだ当分使えそうです。
背もたれ里の籐編みを外しにかかります。
溝に押し込まれた丸芯を外し、カッターで切れ目を入れて外していきます。
溝の底にはステープルが打ち込まれています。これを根気よく抜いていきます。

フレームに傷をつけないように溝底のステープルを抜くのは、根気のいる作業です。工具の先端に専用の加工をするなど、長年工夫を続けていますが何度やっても、もっとこう出来ないものか、と改良点が見つかります。

革を交換する座面は表皮を外します。
木フレームだけになった椅子、この状態でクリーニングし、緩んだ接合部を引き締め、必要に応じて再接着します。
塗装の細かな傷を補修してフレームの作業が終わりました。
新しい籐編みシートの取り付けです。
ステープラーで固定し丸芯を打ち込みます。
完成です。右の椅子の座面は新規の革張り、左側はメンテナンスしたものです。使い込んで美しくなるのは、天然素材のいい所です。

使えば使うほど魅力が増してくる、天然素材を改めて見直す修理でした。完成した時が一番美しいか、愛着を持つ頃に、それにこたえるように美しくなってくるのがいいか。それ相応の手入れが必要なので、好みは分かれると思いますが、木や革にはそんな魅力があります。