ガタつく椅子を直してほしいというご依頼をいただきました。
座面が回転する小ぶりで使い勝手の良い椅子です。座面が滑りづらい起毛の生地なのもフェイルセイフで理にかなっています。

ガタつくのは脚が床に均等に接していないからです。均等に接するよう脚を切り詰めればいいのですが、単にそれだけ処置したのでは同じ不具合が再発したり、使っているうちにさらに進行する恐れがあります。何故均等に接しなくなってしまったのか知ることが大切で、その原因を是正できなければ修理したことになりません。

早速、がたつきの原因を調べます。
脚の付け根が外れかかっています。
反対側も同様の兆候です。
回転部で上下に分解します。
問題の脚の接合部を外してみると、
釘で補修した跡がありました。この補修方法では接合部が強固になるどころか、むしろ弱くなってしまいます。
クリーニングして再接合の下準備です。
ダボ周りの残滓を取り除き、
穴の側も古い接着剤などを取り除きます。
接着剤をつけ、
クランプで締め上げます。
ポニークランプには強力な締め付け力があり、この手の作業には最適です。
一晩おいて、さらに補強作業に入ります。
2段の下穴を空け、長ネジで固定します。
ネジの頭には丸棒を打ち込み
余長を切り落として、
先端を着色して仕上げます。
組み上げて、修理の完了です。
座面が回転するだけに、回転のベースとなる脚部は安定している必要があります。この修理でガタつく原因をしっかり取り除けたので、今後も安心して使い続けていただけます。