意欲的なデザインの椅子の改造を依頼されました。
堅木から削り出された背もたれの細工が凝っています。このような造形をしようとすると材料にかなりの無駄がでてしまいますが、通常よく目にする方向とは45度回転して使われています。座面も本革のようで、制作者の強いこだわりが、脚材の削り出しの造形などにも見て取れます。厳選された素材が使われた、小ぶりなサイズなのに思いのほか重量のある椅子です。
プレートから「BC工房」で作られた椅子だとわかります。
丸い座面が回転する椅子なのですが、
回転しないように改造したいとのご依頼です。
まず、座面と回転金具を外し、どのように再接続するか検討します。
金具を取り除いてそのまま接続すると、フレームに干渉して座面が傾いてしまいます。
そこで、新たに中継パーツをデザインして作りました。
まず、フレームの側に中継パーツを固定します。
座面は革張りなので、この機会に革のメンテナンスも行います。汚れを落とし、カラーレスの保革油で仕上げています。座面の赤が鮮やかさをとりもどしました。
座面を取り付け、脚底に硬質フェルトを貼って仕上げます。
完成です。幾分軽くなり、元来の小ぶりさも相まって、使い勝手も良さそうです。