「下の段も一部でもいいから活かして、小ぶりな収納家具にできないか」(事例紹介50に)引き続きご相談がありました。

電話台にリメイクすることで下の段の活用方針が決まりました。
リビングルームに小ぶりな収納があれば、何かと便利です、今では固定電話は使われなくなりましたが以前電話周辺に置かれていたメモやペン、名簿や懐中電灯や電池などが、手近なところにしまってあれば便利ですし、なにより、その収納家具が家族の楽しい思い出の象徴でもあることが心を豊かにしてくれます。
食器棚のダウンサイズリメイクはそんなコンセプトでスタートしました。
ご了解いただいたスケッチで、ゴールのイメージを共有してダウンサイズリメイクのスタートです。

素材となる食器棚の下の段です。事例50ではもっぱら部材取り用になりましたが、この電話台を作る素材は十分に確保できます。(実際には事例50と同時進行でダウンサイズ作業を進めました)
引出が4つ収納庫の扉が4つあるうち、1組だけを使うサイズにリメイクします。横方向に1/4のダウンサイジングです。
両サイドの側面板の小口の装飾と廻縁の装飾を活かします。状態の良い右側を再利用することに決めました。
手鋸によるカット作業開始です。
余計なところに傷を付けないよう、慎重に切り進めます。
必要な側面板を切り出しました。
鋸で切りながら内部の構造を掌握し、再組立てに都合の良い切り出し方を考慮しつつ作業は進みます。
切り出した側面版の切り口を整形します。
丁番の跡を塞ぎます。使わない所から色味の合う場所を切り出し、
ピッタリはまる形に整形し埋め込みます。
上下さかさまに置いて、巾木の部分を整形し、接着します。
再利用する引出をクリーニングしておきます。
巾木の底の形を整えます。
天板には上の段との接合の位置合わせのダボ穴があります。埋め木をして新たな接合部の線とともに平らにし、単一平面の表面板になるよう仕上げていきます。
オリジナルの塗装を削り落とし、
外周をマスキングして接合ラインのわずかな隙間をエポキシパテで埋めます。
下地処理、着色下塗り、中塗り、仕上塗装。工程を進めるたびに平面の研ぎ出し研磨を繰り返します。
天板の再塗装が終わりました。20工程くらいかかった塗装の工程を経て、平らで滑らかな天板になりました。
外周の装飾サンメントとも違和感なく仕上がりました。
引き出しと扉を付けます。
オリジナルがサンバースト仕上だったため、新たに隣接することになった場所に濃淡の差が表れています。最後にこの差を解消します。
数回の吹き付け塗装を行い、濃淡の差が自然なグラデーションになりました。
内部も綺麗に仕上がっています。ダボをねじ込み、棚板を付ければ完成です。
平滑で張りのある天板を持つ電話台の完成です。
ご家族の思い出の詰まった食器棚は、小ぶりな電話台に生まれ変わりました。