テーブルの脚のカットのご依頼がありました。

5センチ切り詰めたいとのご要望です。テーブルを運ぶと運搬費の方がかかってしまうので、テーブルのある所に出向き、その場で作業することになりました。

事前に工房でこんな道具を作っておきます。
床から5センチの所で、床と水平なカットラインを罫書くための道具です。
別角度から撮った写真です。
以前手掛けた家具から出た、山桜の端材を利用して作りました。

以下、テーブルのある現地での作業記録です。

床と天板を養生する毛布、手鋸やサンドペーパーなど必要な工具を持参しての出張作業です。一人でうかがったので、テーブルをひっくり返す時にお手伝いいだきました。

訪問してテーブルを拝見すると、チークの単板で作られたダイニングテーブルでした。継ぎが入っているとはいえこれほどの幅広の1枚板は、あまり目にしなくなりました。チークの産出国が木材のままの輸出を禁止していて、現地で製造されたものしか手に入らなくなっているのです。銘木の家具は年々確実に希少価値が上がっています。
早速持参した道具で床から5センチの所に水平にカットラインを罫書きます。
4本とも罫書き終わったら、お手伝いいただいて持参した毛布の上にさかさまにします。
罫書き線に合わせて養生のテープを巻きます。これは、カットするラインを目立たせるのと、鋸刃でささくれを出さないための用心です。
4本とも手鋸で慎重にカットします。
カット面をサンドペーパーを当てて整えます。今回は80番、120番で仕上げました。

この後、サンデイングして仕上げた小口に硬質フェルトを貼って作業は終了です。

再びお手伝いいただいて、天板を上にして設置しなおし、全ての作業終了です。現地での作業時間は、前後の打ち合わせと準備を含め、およそ1時間くらいの軽微なものでしたが、カットしたことによる利便性の向上は大きいです。

数センチの差とは言え、食事中の姿勢が良くなりますし、より高い所から見渡せるので、料理そのものも美味しそうに見えます。

屋内では靴を脱ぐ習慣の日本では、テーブルや椅子の高さが数センチ高すぎるまま使ってらっしゃることがほとんどです。特に外国製の銘木家具で、このような問題を抱えてらっしゃるご家庭が多いのでは?

今回カットしたテーブルは角形の、脚が垂直に床に接地されるものでしたが、脚に傾斜があり床に斜めに接地するデザインのモノの方が多く、デザイン的な見栄えと機能の両立に工夫が必要な場合がほとんどだと思います。今回ご紹介した事例を参考に脚のカットをご相談いただく場合は、デジカメ写真をメールに添付いただけると、より具体的な解決策のご提案ができます。