楢のテーブルの塗り直しを依頼されました。20年以上使い続けたご家族の思い出の詰まったテーブルとのこと。最近天板が「べたつく」ようになったことがご依頼の直接の動機だそうです。近く内装のリニーアル工事が完成するので、この際テーブルも綺麗にしよう、気になる「べたつき」を無くし、汚れも落としてほしいとのご要望です。
天板の補修は実は結構難しい作業です。何度やってもいつも途中で難題にぶち当たります。そんなことを繰り返すうち、最近になって大切な肝の部分が見えてきたように感じています。今回の紹介ではこの肝の部分をしっかりお伝えしたいと思います。
最初にしっかりした作業方針を決めることが大切です。もちろん作業中にいろいろ問題が出てきて軌道修正することがほとんどですが、特に天板の塗装補修などの難易度の高い作業では目標を定めておくことで、工程ごとの到達点を意識でき、手戻りの少ない美しい仕上りにすることができます。
ご依頼のきっかけとなった「べたつき」に関しては原因はテーブルの上で行う焼き肉などで食用油が飛び、それが長年の蓄積していることです。食用油は硬化することがないのでいつまでも「べたべた」しています。それがごく薄い層になって長い時間かけて何層も蓄積しているので一般的な洗剤だけでは取れないしつこい汚れになっているのです。かといって物理的にむりやりこすり取ろうとすると天板を傷つけてしまいますし、強力な洗剤では表面の塗装まで痛めてしまいます。