美しい象嵌の施された、大ぶりな円形テーブルの脚を修理しました。たぶんアメリカ製のこの大型円形テーブル、天板が傾いてしまっています。
傾きは、脚の付け根が抜けてきているのが原因です。
修理の方針をスケッチにして事前にご説明しました。脚の付け根を締め直し、金具をクロスさせて補強します。
作業所にお引き取りし、上下逆さに設置します。
抜けかかっている脚の付け根。
この付け根に全ての荷重が集中する構造ですから、このまま使ってはいては危険です。
ポニークランプを4本使って、向かい合う二本づつ締め上げていきます。かなり強力な力で締め上げるので、仮止めしている木片がよじれてしまっています。
もう片側も締め上げ、各2日養生してクランプを外しました。木片を仮止めしたビス穴が開いてしまっていますが、これは後で塗装で修復します。
肝心の脚の付け根の隙間は、ほぼなくなりました。
次に補強金具の設置に入ります。まず金具の入る溝を掘ります。
ルーターを使って掘ったので、四角くきれいに掘れています。ちなみに、上下の木片はルーターの動ける範囲を規定するリミッター、一種の治具です。
もう片方の溝もクロスさせて掘り込みます。中央の交差する所は溝の深さに2mmの段差をつけて仕上げます。
次に据え付ける金具を準備します。厚さ2mm、幅30mmのステンレスのフラットバーに8mmと6mmの犬釘をねじ込む穴を開けています。
金具の取り付けは、まずセンターに8mmの長い犬釘をねじ込み、次いで周囲の6mmの犬釘12本をねじ込みます。
仕上げに、脚全体を塗装し、脚の先端の床に接する所4か所に平面を出して、硬質フェルトを貼りました。
修理完了です。テーブルに大きな荷重がかかって、脚が抜けようにも、この金具が千切れない限りもう抜けようがありません。