エコーのロッキングチェア―を修理しました。
肘掛が取れています。
このひじ掛けに、鋭角な角度でついた支柱がエコー製のロッキングチェアーの特徴です。
鮮やかなバーガンディーの座面の色もエコー製の証です。
外れたひじ掛けを子細に見てみると
破断した木ネジがネジ穴の内に残っています。これは厄介です。
ひとまず座面の生地を剥がします。
生地は太鼓鋲とステープルでとめてあります。
ステープルを一つ一つ抜いて、
座面から剥がします。座面奥は生地がテーピングの装飾で太鼓鋲止めになっています。
座面下のステープルを全て引き抜き、
座面を外します。
外した生地は、新しい生地の切るべき形が得られる貴重な情報源です。
飾りテープの収まり方をよく観察して、
記憶します。
新しい生地を用意し、
まず装飾テープを作ります。
ゴム系接着剤で芯材を挟んで接着します。
寸法情報は、取り外した既存のテープにそっくりそのまま倣います。
さて、例の穴の中で折れたビス先の取り外しにかかります。まず残っているビスにドリルで穴を掘ります。
中央にこの程度の深さの穴が掘れたら、
エキストラクターをこの凹みにねじ込むようにして、回し、
折れたビス先が引き抜けました。エキストラクターには逆ネジが切ってあり、凹みの縁にかかるとネジを抜く方向に回転を与えることが出来て、自然とネジが抜けてくるのです。
木工作業ではエキストラクターは滅多に使いません。むしろエンジンなどの機械相手のエンジニアにはなじみのある道具だと思います。引き抜いたビスより一回り(直径で0.1mm全長でで3mm)大きいビスを発注して、他の作業を進めます。
交換するビスが届いたのでひじ掛けの組み立てに入ります。接着剤をつけ、
所定の位置に部材をはめ込んで
新しいビスをねじ込んで組み立てます。
接着剤が固まるまでテープで養生しておきます。
この加圧養生には、荷造り用フィルムテープが最適です。適度な収縮性があり、
引っ張って固定しておくには好都合です。
組み立て終わりました。木製フレームの細かな傷をタッチアップして、
全体にクリヤーラッカーを吹き付けて艶を整えました。
座面の生地を張り、完成です。
エコー製のロッキングチェアーは適度な大きさで。
使い勝手の良いロッキングチェアーです。
全体のプロポーションも美しく、
座面の色と、太鼓鋲が小粋な感じで好感が持てます。
背もたれの上の部材のカーブも、自然な曲線を描いていて、
嫌味がなく、後ろ姿も粋です。
壊れていたひじ掛け、
力のかかるところなので、ビスも一回り大きな新品に交換してあります。
床に接するソリの部分も塗装の傷みがなくなり、新品のようです。
エコー製らしい鋭角に取りついたひじ掛けの支柱、修理完了です。