年明け早々、新しく見つかった壊れたヒンジ金具の交換をしてきました。これで、この食器棚の修理は全て完了しました。

今回の事例紹介では、類似の事例をご自身で修理されることを想定して、詳しくご紹介します。

戸棚の全体像

今回壊れたヒンジ金具を交換したのは、向かって右側の木製扉です。写真が取れていなくて言葉で説明するしかないのですが、扉を外す際に、開いた扉にクランプで棒材を取り付け、その棒材の下端を床に接地させた状態でヒンジ金具を外します。これをしないと金具のビスを抜いたとたん、扉が落下してしまいます。ガラスをはめ込んである扉の場合は特に危険です。誰かに支えてもらえればこの限りではありませんが、一人で作業する場合には必須事項です。

また、この棒材を固定したまま扉のヒンジ金具の交換を行えば、扉を取り付ける際の位置合わせに苦労することがなく、一石二鳥です。

壊れたヒンジ金具です。
本体側に残った金具をつけると、こんな形です。
扉の側の金具を外し、
交換する金具を嵌めてみると、1mmほど上にはみ出ています。

これを切り込みの底の部分を削り落とすことで、位置合わせします。

今回使ったのは切り出し小刀です。片側から削り始め、
反対側も落として、平らな面に整形します。削り落とす目安は1mmです。
交換する金具を置いてみて、扉の小口面と同一面になるようにしました。

3個セットされた金具すべてに、同じことを繰り返します。それが完了したら、本体に2本のビスだけで仮止めして開閉の様子を確認します。

今回はこれで全く問題がなかったので、ヒンジ金具取付ビス全てを締め付けて本固定し、作業は終了しました。昨年は隣の扉に干渉していることに気づかず、改めて調整作業をすることになってしまったので、隣の扉の開閉も確認したことは言うまでもありません。

昨今主流のスライド丁番であれば、ドライバー一本で調整が可能ですが、この時代の金具は一旦外してスペーサーを入れるしかありません。特に今回の食器棚のように開閉扉が4枚続いている家具では注意が必要です。

永く使い込まれた家具には、ほとんどの場合良い木材が使われています。それだけに金具の方が先にダメになるケースも多いと思われます。長年使われて、愛着があり直して使いたいという方も多いのですが、ヒンジ金具だけは作ることが出来ません。交換用のヒンジ金具を扱ってらっしゃる「安田屋家具店」さんに感謝してこのご紹介を終わります。