
3代続く美容院様から大きな姿見の鏡のクリーニングと木枠再塗装のご依頼がありました。
実物を拝見しにうかがうと、裏板を剥がした状態になっていて、木枠の中で鏡が動きます。これは輸送に細心の注意が必要です。梱包に工夫して工房に運び込みました。



姿見全体が少しぐらつく印象だった理由もこれでわかりました。これだけの太さの無垢材が一切乾燥割れせずに、半世紀近く機能してきたことに驚きます。この姿見は先々代から受け継がれ、着付などで活躍してきたとのお話を、ご依頼者様からうかがぃましたが、この時点で、今回の作業は外から見えない地味で評価されない仕事になると覚悟しました。評価されなくてもさらにあと数10年しっかり機能し続けられるようにしようと心に決めました。

















今回の仕事は予想通り外から見えない地味な仕事に終始しました。この重くてデリケートな姿見の搬送をしっかりサポートしてくれた助手に感謝してこの稿終わりにします。この鏡に映った自分の姿の変貌に目を見張り、着付けしてもらっている新成人に、時代を生き抜いたこの鏡が映し出す世界が、輝き続けますよう。